第98回<平成28年>全国高等学校野球選手権

和歌山大会

<準決勝> 和歌山東 1-7 箕島
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
和歌山東 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1
箕島 0 0 0 2 5 0 0 0 × 7

 箕島が7-1で和歌山東を下し、3年ぶり16回目の決勝進出を決めた。
 箕島が中盤に一気にたたみかけ、流れを決めた。4回二死3塁から田中脩の左越え2点本塁打で先制。5回は松尾、滝本がそれぞれ適時二塁打。さらに救援の森下から1年の森が右越え適時二塁打を放ち、打者9人で5点を奪った。主戦福居は126球で完投。
 和歌山東は7回、二死1,2塁から代打三川の中前適時打で1点を返した。8回は死球と池田、池谷の連打で無死満塁の好機を作ったが、自慢の打線がつながりきらず、本塁が遠かった。

<準決勝> 市和歌山 3-2 橋本
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
市和歌山 0 0 0 0 0 3 0 0 0 3
橋本 0 0 2 0 0 0 0 0 0 2

 市和歌山が3-2で橋本に逆転勝ちし、2年ぶり8回目の決勝進出を決めた。
 最後まで手に汗握る接戦を市和歌山がものにした。5回まで橋本・大藪健を攻めきれなかったが、2点を追う6回一死2,3塁で薮井の3塁への当たりで3塁走者が生還し1点。市打者の北嶋の犠飛で同点。木下の左前適時打で勝ち越した。先発の栗栖は6回以降は無安打に抑えた。
 橋本は3回二死3塁から梅本の右前適時打で先取点。続く大藪健の左中間適時二塁打で1点を加えた。1点を追う8回と9回、走者を3塁に進めたが、あと一本が出なかった。

<決勝> 箕島 0-2 市和歌山
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
箕島 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
市和歌山 0 0 0 0 0 0 0 2 × 2

 出場39校の頂点を決めるにふさわしい緊迫した好ゲームとなった決勝。追い続けてきた夢の舞台まであと1勝。思いをぶつけ合う選手らに、集まった人々は温かい拍手を送り続けた。市和歌山が2-0で箕島を破り、2年ぶり5回目の夏の甲子園出場を決めた。
 終盤に入るまで0が並ぶ接戦を、市和歌山が1本の本塁打で制した。0-0で迎えた8回、先頭の山﨑が右前安打で出塁、河﨑が犠打で送って一死2塁。ここまでの3打席で2二塁打と当たっている薮井が打席に。2ボール、2ストライクからの5球目の直球を左中間席に運び2点を先制。これが勝負を決めた。先発の赤羽は直球の伸びもよく、球が低めに決まった。1回を2奪三振、打者3人で終える。その後も走者は出すものの、要所をしめて、126球、2安打で完封した。
 箕島の主戦福居は制球が良かった。1回は薮井の二塁打以外は奪三振と好調な滑り出し。2回、4回のピンチも内野ゴロに打ち取った。6回は先頭の薮井を二塁打で出し、犠打で3塁に進められたが、5、6番打者を2連続三振で切り抜けた。打線は4回無死1、2塁や5回一死2、3塁などの好機はつくったが、好守にも阻まれ、最後まで赤羽を攻略できなかった。

全国大会

<1回戦> 市和歌山 8-2 星稜
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
市和歌山 1 3 0 0 0 0 1 3 0 8
星稜 1 1 0 0 0 0 0 0 0 2

 市和歌山は星稜と対戦して、序盤は点の取り合いになったが終盤に突き放し、8-2で和歌山代表としては5年ぶりの夏の甲子園勝利を果たした。
 開始早々、山﨑が左前安打。続く主将河﨑がきっちり犠打を決め、山﨑を得点圏へ。四球後、4番北嶋の三塁線に抜けたように思えた球が審判の足に当たって内野安打となり一死満塁。5番木下は落ち着いて左中間へ犠飛を放ち、まさに理想的な形で先取した。2回表も星稜の先発寺西の制球の乱れを逃がさなかった。暴投や四球などに山崎と薮井の適時打が絡み、一挙3点。中盤はじりじりした展開だったが、7回表、先頭の濱野が出塁すると、山﨑が犠打で送り、薮井の適時打で1点を追加。8回も手は、濱野の右前への当たりを相手右翼手が後ろにそらす間に、一気に一周して生還するなど3点を加えて突き放した。
 主戦赤羽は星稜の強力打線に粘投。2回裏は無死満塁から1点返されたが三振と併殺で切り抜けた。8回裏、無死1、2塁のピンチで、鋭い打球が三塁を襲っても、冷静に併殺を奪って流れを断った。この日はチームで3失策したが、1試合最多併殺の大会記録タイとなる5併殺で、再三ピンチをしのいだ。被安打11ながら2失点で、春の選抜大会で主戦で敗退した悔しさを晴らした。
 星稜は初回、虎谷の適時打で追いついたが、主戦寺西が立ち直れずに勝ち越され、交代した竹谷も流れを変えられなかった。
 夏の甲子園での勝利は前身の「市和歌山商」が2004年に1回戦を突破して以来12年ぶり、校名変更後の「市和歌山」としては初勝利。選手らは春の悔しさをバネに成長した姿を3万8千人の観客に見せ、校歌を響かせた。

<2回戦> 日南学園 6-4 市和歌山
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
日南学園 0 0 1 0 2 2 0 0 1 6
市和歌山 0 3 0 0 0 0 1 0 0 4

 市和歌山は、2回戦で宮崎代表の日南学園と対戦した。序盤に3点を先取したものの相手にじわじわと加点され、4-6で敗れた。最後まで諦めず、粘りを見せた市和歌山の姿に、甲子園球場の大勢の観客から温かい拍手が送られた。
 市和歌山は2回裏、先頭の木下、続く七野が連続安打。犠打で一死2、3塁とすると、栗栖の二ゴロが敵失を誘い2点を先取した。その後も四球などで二死1、2塁の場面で、主将の河﨑がきっちり右前へ運び、3点目。控えに回っていた相手の主戦・森山を引きずり出した。2点を追う7回裏には「チームの切り込み隊長」として信頼の厚い山﨑が四球で出塁。河﨑が犠打で送る定番の攻撃パターンで好機を作ると、4番北嶋が外角の直球を捕らえて右中間へ適時二塁打を放ち、1点差に詰め寄った。だが9回に1点を追加され、再び2点差に。最後の攻撃は二死から河﨑が内野安打で出塁したが、力尽きた。先発の左腕栗栖は、前半を3失点でしのいだが、6回から救援した赤羽の立ち上がりが不安定だったのが痛かった。
 日南学園打線は粘り強さを発揮。3回表には犠飛で1点を返し、5回表には連続二塁打で同点に追いついた。試合の流れが変わったのは6回表。継投した主戦の赤羽を代わりばなにつかまえた。三振などで二死をとられるも満塁の好機。2ストライク2ボールまで追い込まれてからの5球目。芳賀が降ったバットがミットに当たって打撃妨害で進塁となり、勝ち越した。2回途中から登板した森山はコースに球を集めて要所を締め、逆転を呼び込んだ。