第87回<平成17年>全国高等学校野球選手権

和歌山大会

<準決勝> 笠田 8-2 桐蔭
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
笠田 3 2 3 0 0 0 0 0 0 8
桐蔭 0 0 0 0 0 0 1 1 0 2

 笠田が犠打を絡めた集中打で序盤に大量得点し、桐蔭の反撃を堅い守りで振り切った。
 笠田は1回、四球の鈴木をばバントで2塁に進めると、森中が二塁打で迎え入れ、先制。二死後、土屋、岡澤が連打して2点を奪う果敢な攻撃で、ほぼ試合を決めた。
 先発・土屋は、横手から繰り出す直球とスライダーを右打者の外角に集める投球で桐蔭打線をほんろう。2併殺で桐蔭の反撃機をつぶした。
 桐蔭は、7回に貴志、8回に柏が左越え本塁打して気を吐いたが2点止まり、前半の大量失点が重くのしかかり、持ち前の打線が湿ってしまった。

<準決勝> 智辯和歌山 9-7 市和歌山商
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
智辯和歌山 0 0 0 2 4 2 0 0 1 9
市和歌山商 0 0 1 2 0 0 0 4 0 7

 強打同士の対決は中盤に長短打を連ねて勝ち越した智辯和歌山が追いすがる市和商を振り切った。
 智辯和歌山は4回裏、市和商に逆転されてなお二死2塁のピンチで、レフトの前田哲が左前打を好返球して2塁走者の生還を阻止、追加点を許さなかった。これで流れが変わり、5回には前田逸の三塁打を最初に橋本の適時打や松隈、亀田の二塁打などたたみかける攻撃で一挙4点を奪って再逆転に成功。9回には犠飛で貴重な追加点を挙げ、その裏の市和商の反撃を堅守でしのいた。
 先手をとった市和商は5点差で迎えた8回、一死満塁から川端の二塁打などで1点差に詰め寄った同点機を逸し、9回にも二死3塁と迫ったが後が続かなかった。

<決勝> 智辯和歌山 12-6 笠田
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
智辯和歌山 1 0 1 0 2 1 6 1 0 12
笠田 0 3 0 0 3 0 0 0 0 6

 緊迫した好ゲームの決勝戦は、中盤まで押され気味だった智辯和歌山が7回、持ち前の打撃力を発揮して一挙に6点を奪うなど大量12得点の猛攻で笠田を破り、2年ぶり13回目の優勝を決めた。
 智辯和歌山は1回、前田逸の二塁打と橋本の左前適時打で1点を先取。3,5,6回に廣井や竹中の適時打などで計4点を挙げたものの、6回終了時点で1点を先行される苦しい展開となった。
 7回、一死1,2塁で松隈が打席に立った。松隈は先発で登板したが、制球を乱して2回途中で降板した。「チームに迷惑をかけた分、ここで絶対に打つ」。同点に追いつく左前打を放ち、さらに「次の打者につなぐことだけを考えた」辻本が中前安打して勝ち越し。続く竹中が3点本塁打を放つたたみかける攻撃で試合の流れを呼び込んだ。
 5回途中から2番手の三宅を救援した竹中は、自らの二塁への悪送球で1点を与えるが、6回からは落ち着きを取り戻し、笠田に二塁を踏ませない好投を見せて追加点を許さず、甲子園への道を切り開く原動力となった。
 笠田は2回、2つの押し出し四球と森中の適時打などで3点。リードされた5回にも智辯和歌山守備陣のミスを突くなどして3得点。5回までに智辯和歌山の3投手に8安打を浴びせ、一度は主導権を握った。
 7回に同点とされてなお二死満塁のピンチで、笠田の前田主将が伝令に出た。集まった内野手に監督の指示を伝えた後、「落ち着かせたい」と一緒に深呼吸をした。みんなに笑顔が戻ったが、連打を浴びた。「もう一度逆転するんだ」。ベンチから前田主将は祈ったが、最後は力尽きた。しかし初めて決勝に進出した笠田の健闘に観客から大きな拍手が送られた。

全国大会

<1回戦> 智辯和歌山 5-7 青森山田
  1 2 3 4 5 6 7 8 9
智辯和歌山 0 1 0 2 0 0 0 0 2 5
青森山田 0 1 0 0 3 0 2 1 × 7

 智辯和歌山大会初日に青森山田と対戦し、惜しくも5-7で敗れた。2点リードの5回に本塁打などで逆転されると、好機にたたみ掛ける青森山田打線を止めることができず、78回大会以来の初戦敗退で、連続初戦突破は6でストップした。
 智辯和歌山は2回二死1,2塁から辻本が真ん中よりの直球を左前に運んで貴重な先制点。4回には亀田の二塁打などで2点を奪うなどして試合の流れを引き寄せた。しかし、2点リードして迎えた5回裏、竹中の球が浮き気味になってきた。一死2塁から青森山田の田守の三塁打で1点差に詰め寄られ、続く加守田の左越え本塁打で一気に逆転された。7回にも柳田の適時打などで2点。8回には三宅がマウンドに呼ばれたが、甘く入ったスライダーを加守田にうたれてさらに1点追加された。
 最終回、3年生が意地を見せた。先頭の辻本が一塁強襲安打で出塁(代走浜崎)。続く代打堀本が三遊間を破り、相手のミスの乗じて無死2,3塁。前田逸のゴロと古宮の犠打で計2点。さらに二死から代打前田創の安打でチャンスをつくるなど最後まで粘りを見せたが、好投手・柳田の140キロ台の直球を攻略しきれたなった。